フランチャイズとして開業したいけれど「どのような知識が必要なのかわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
フランチャイズで開業するために必要な知識を押さえておけば、経営の経験がない方でもフランチャイズビジネスをスタートできます。ただし、長期間安定した収益を確保し続けたいなら、市場拡大が予想される将来性のあるフランチャイズビジネスを選ぶことが重要です。
本記事では、フランチャイズの開業に必要な知識とこれから伸びる狙い目の業界を紹介します。成功のチャンスがあるフランチャイズで起業したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
こちらの記事 解説内容
フランチャイズ開業とは?
フランチャイズ開業とは、フランチャイズ本部のビジネスモデルやブランドを借りて、新しく事業を展開する(店舗を経営する)方法です。
例えば、本部とフランチャイズ契約を結ぶことで、次のサポートを受けられます。
- 経営を成功させるためのノウハウ提供
- 経営研修・専任アドバイザーの経営指導
- 商号・商標を使用できる権利の提供
- 効率よく商品発注できる取引先情報の共有
フランチャイズに加盟すれば、本部から提供されるサポートを活用することで、独自で開業するよりも倒産リスクを減らしながら安定した収益の確保が期待できます。
ただし、開業資金やロイヤルティを支払うこと、本部のガイドラインに準じて加盟店は運営しなくてはならないことなど、経営の自由度が低いことに注意が必要です。
「経営の経験がない」「成功した企業のノウハウを活用して起業したい」という方に、フランチャイズを利用した開業が向いています。
フランチャイズ開業の前に確認すべきポイント
フランチャイズを利用して新たに店舗を開業したいという方向けに、開業の前に確認すべき4つのポイントを紹介します。
フランチャイズの種類
フランチャイズで開業をする際には、下表に示す3つのモデルがあることを理解しておくべきです。加盟するフランチャイズによって契約内容が違うので、事前にチェックしておきましょう。
フランチャイズの種類 | 契約内容 | おすすめの人 | 事業例 |
---|---|---|---|
ビジネス・フォーマット型 | ・本部のブランドやノウハウを加盟店に提供するが、店舗の提供はフランチャイズパッケージに含まれていない | ・経営の経験が少ない人 ・サポート力を重視する人 ・ブランド力を重視する人 | ・飲食業 ・リサイクル業 |
ターンキー型 | 本部が完成済みの店舗とともにブランドやノウハウを提供する | ・開業準備に時間をかけたくない人 ・手軽にビジネスを始めたい人 | ・コンビニ業 |
コンバージョン型 | すでに事業を行っている同業者とフランチャイズ契約を結び、組織に加える | ・既存ビジネスを持っている人 ・新しい市場に進出したい人 ・経営の効率化を図りたい人 | ・不動産業 ・ホテル業 |
各種、開業する際の「準備の程度」が変化します。上表の3種類から自分の目的に合う理想のフランチャイズタイプを選びましょう。
フランチャイズの仕組み
開業を希望する事業者がフランチャイズに加盟すると、本社から開業や経営に関するノウハウを提供してもらいながら開業の準備を進められます。また、開業後にもフランチャイズ本部から次のようなサポートを提供してもらえるのが魅力です。
- マーケティング支援
- 運営上のアドバイス
加盟店は本社からのサポートを活用することで、経営の効率性を高め、競争力を維持しやすくなります。一方でフランチャイズ本部は加盟店を増やすことによりブランド力の強化・市場拡大が可能です。フランチャイズの仕組みは、双方にとって利益をもたらす効果的なビジネスモデルと言えます。
フランチャイズのメリット・デメリット
「フランチャイズで開業するリスクを減らしたい」という人のために、下表にフランチャイズのメリットとデメリットをまとめました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ブランド力 | 本部のブランド力を利用して集客できる | ブランド力を利用するために、初期費用やロイヤリティを支払う必要がある |
サポート | 本部からのサポートやトレーニングを受けられるため、ビジネス経営をスムーズに行える | 本部の規定や方針に従う必要があるため、独自の経営判断が制限されやすい |
リスク | 成功したビジネスモデルを利用することで、倒産リスクを軽減できる | 契約期間や契約内容に縛られる影響で、自由に事業を展開できない場合がある |
マーケティング | 本部がPR活動を行ってくれるので、宣伝費用が抑えられる | PR活動は本部の方針に従う必要があり、自由度が低い |
もし「開業を全面的にバックアップしてほしい」と考えているなら、フランチャイズを利用して起業するのがおすすめです。
フランチャイズのお金の流れ
フランチャイズに加盟すると、下表の費用が発生します。
発生する費用 | 目的 | |
---|---|---|
フランチャイズ加盟前 | 初期費用 | 開業のための準備 (ブランド使用料・トレーニング費用・経営研修) |
フランチャイズ加盟後 | 一定のロイヤリティ | サポートの維持 |
フランチャイズ加盟前に事業者が支払う初期費用は、フランチャイズ契約を結ぶための一時金です。初期費用の額はフランチャイズの業種や規模によって異なります。
また、フランチャイズ加盟後は、加盟店は本部のブランドや商品・サービスを利用するために一定のロイヤリティを支払わなくてはなりません。加盟店は売上からロイヤリティや経費を差し引いた額が店舗の収益となることを覚えておきましょう。
ただし、初期費用・ロイヤリティの支払いは無駄ではなく、加盟店がフランチャイズ本部から適切なサポートを受けるために必要な費用です。加盟店は初期費用・ロイヤリティを支払うことで成功事例のあるビジネスモデルを利用して、長期的に安定した収益を確保できます。
フランチャイズ開業先の選び方
フランチャイズの開業先に迷っている人向けに、3つの選び方を紹介します。
自分の興味のある業種か
フランチャイズ起業で成功したいなら、自分の興味のある業種での開業を検討しましょう。参考として、開業したい人の考えに合うおすすめの業種を下表にまとめました。
興味 | 業種 | おすすめの理由 |
---|---|---|
人の役に立ちたい 社会貢献がしたい | 福祉業界 | ・高齢者の増加に伴い、福祉業界の需要が高まっている |
環境問題に関心がある 中古品・リユース品に興味がある | リサイクル業界 | ・SDGsの推進により、リサイクル業界の市場が拡大している |
複数の店舗を運営したい 地域密着型のビジネスをしたい | コンビニ業界 | ・知名度とブランド力が高く、集客を期待できる ・フランチャイズ本部が多店舗展開を推奨している |
上表を参考に、自分の興味をビジネスに活かせるか考えてみてください。フランチャイズビジネスを長く続けていくためにも、自分の興味のある業種で開業することをおすすめします。
予算内で開業できるか
無理なくフランチャイズで経営を続けていくためには、予算内で開業できるか考えることが重要です。予算をオーバーする開業は、次のリスクが伴います。
- 店舗の運営資金が不足して経営が難しくなる
- 借入金が増え返済負担が大きくなるせいで経営が不安定化する
- 予期していない費用が発生した場合に対応ができなくなる
フランチャイズビジネスを成功させるためには、計画的な資金管理が必要です。また開業にかかる費用を予算内に収めることで、安定かつ持続的な経営が可能となります。
サポート体制が充実しているか
「フランチャイズ本部のサポート体制をチェックしたうえで開業先を選びたい」という方は、本部から次のサポートが提供されているか確認してみてください。
- 本部が蓄積したノウハウを提供してもらえるか
- 経営研修があるか
- 専任アドバイザーが在籍しているか
- 本部とのコミュニケーションが密であるか
まず、高品質なサポートを受けられるフランチャイズに加盟したいなら、契約前にフランチャイズ本部が提供しているサポートの内容を確認しましょう。上記で紹介した4項目を網羅できている本部を選べば、満足のいくサポートを受けられます。
また、すでに開業しているフランチャイズのオーナーに「フランチャイズ本部のサポートが充実しているか」を聞いてみるのも効果的です。
フランチャイズ開業の手順
「フランチャイズで開業するまでの流れを知りたい」という方向けに、開業までの手順を順序立てて紹介します。
順序 | 活動内容 |
---|---|
1.業界・業種の選定 | 開業したい業種・業界を絞る |
2.フランチャイズ本部の選定 | 加盟したフランチャイズ先を選び、加盟店オーナー向けの資料を取り寄せる |
3.説明会・個人相談会に参加 | フランチャイズ本部が主催する説明会・個人相談会に参加し、サポート体制などを確認する |
4.加盟店の審査 | 加盟を希望するフランチャイズ本部の審査を受ける |
5.立地調査 | 出店予定地の立地調査を行う |
6.フランチャイズ契約締結 | 出店場所が決まった後、フランチャイズ契約を行う |
7.開業準備 | 店舗の設計やオーナー・スタッフの研修を受ける |
8.店舗経営の開始 | 開業後はフランチャイズ本部の経営サポートを受けながら運営する |
開業までのステップは多くやや複雑です。フランチャイズ本部の説明会・個人相談会には積極的に参加するようにし、本部が提供するサポート体制など確認しておきましょう。
フランチャイズ開業後に必要な知識
フランチャイズで開業した後の動き方がわからないと不安な人向けに、開業後に押さえておくべき知識を3つ紹介します。
経営状況を逐一チェックする
フランチャイズのサポートを利用してスムーズに開業できても、開業をした後にイレギュラーな自体が発生するかもしれません。不測の事態に対応するためにも、次の経営状況を逐一チェックしましょう。
- 売上が低下していないか
- 店舗のパフォーマンス(施策・マーケティング戦略)は最適か
- フランチャイズ本部との連携を怠っていないか
- 収支のバランスはとれているか
経営上のイレギュラーに素早く対応するためには、日々の経営状況のチェックが重要です。
とくに施策やマーケティング戦略が最適でないと、売上の低下につながります。オーナーの判断で改善できない場合は、フランチャイズ本部に相談し、適切なサポートを受けましょう。
地域の特性を把握して経営戦略を考える
開業後は顧客ニーズを理解できていないため、地域の特性を把握して経営戦略を立てるべきです。まず、以下に示す項目を意識して顧客ニーズの理解を深めましょう。
- 地域の人口構成や経済状況を理解する
- 文化や習慣を理解する
- 地域内の競合他社を分析する
- 店舗周辺の交通インフラやアクセスを把握する
- 地域のニーズとトレンドを理解する
例えば、高齢者が多い地域では、健康関連の商品やサービスの需要が高い傾向があります。
また、地域内の競合他社を分析することで、自店舗にしかない強みを見つけやすくなるのがメリットです。
ビジネスで成功をおさめるためにも、まずは地域の特性や居住している人々の暮らしを理解しつつ、最適なビジネスプランを見つけ出すことが重要だと言えます。
人材採用や育成に力を入れる
人材の採用や育成に力を入れると、フランチャイズ加盟店に次の影響を与えます。
項目 | 影響 |
---|---|
優秀な人材採用 | 高品質なサービスの提供により顧客満足を高め、ブランドの信頼性を高める |
適切な育成 | 業務に対する理解を深め、効率的に作業を遂行する |
また、従業員に相応の報酬を与えてモチベーションを高めることで、離職率が低下し、店舗運営が安定化します。
長く続くフランチャイズ開業とは
フランチャイズで開業した後に、長く経営を続けたいなら、次のポイントを意識してください。
- フランチャイズ本部のブランド力を適切に活用する
- 本部と連携してスピーディーに市場の変化に適応する
- 地域特性の理解する
- 財務管理の徹底する
- 優秀な人材の採用と育成する
まず、安定して集客し続けたい人は、本部のブランド力をフル活用し、市場の変化にすばやく対応しましょう。本部のブランド力は、新商品やサービスを打ち出した時に集客力を高める武器になります。
また、開業後に収益を安定化させたいなら、地域特性の理解と定期的な財務チェックを怠ってはいけません。もしオーナー1人で管理が難しいなら、優秀な人材を採用するか従業員を育てておきましょう。
2番手、3番手を育てておけば、店舗の財務チェックなどを任せられ、オーナーは経営戦略の立案に集中できます。
うまくいかない場合廃業のリスクもある
フランチャイズを利用して開業したとしても、すべての事業が成功するわけではありません。例えば、次の事態が発生した場合には、廃業に追い込まれるおそれがあります。
- 資金不足
- 競合店の出現
- ビジネスブームの終焉
- フランチャイズ本部のコミュニケーション・サポート不足
また、フランチャイズ契約の不備によって、廃業に追い込まれるケースも少なくありませんし、高額なロイヤリティの支払いを求められるフランチャイズに加盟すると、店舗の資金不足に直結します。
経営失敗のリスクを避けるためにも、フランチャイズに加盟する前に契約書の確認を怠らないようにしましょう。あわせて開業前・開業後も安定した経営をできるように、経営指導や専任アドバイザーの運営指導などサポート体制が充実したフランチャイズを選んでください。
これから伸びる狙い目のフランチャイズ業種とは
市場の拡大が予想されるフランチャイズの業種を5つピックアップして紹介します。
これから伸びる狙い目フランチャイズ | 狙い目の理由 |
---|---|
ハウスクリーニング業 | ・片づけや家の掃除が難しい高齢者・家事をする時間がない共働き世帯の利用が増加している |
買取業 | ・SDGsの推進により中古品・リユース品の注目が高まっている |
介護業 | ・高齢者の増加により需要が高まっている ・開業した場合に政府から補助金・助成金といった支援を受けられる |
宅配 | ・ネット通販が一般化したことにより移動手段がない人たちからの需要が高まっている |
ペット葬儀 | ・ペット需要の増加に伴い、ペットの葬儀に関心が集まっている |
長期的に安定した業界で起業したい方は、上表のフランチャイズ業種への加盟を検討してみてください。
開業資金の安いフランチャイズ業種とは
フランチャイズの開業費用を抑えたい方向けに、開業資金の安いフランチャイズの業種を3つ紹介します。
フランチャイズ業種 | 開業資金 | 事業例 |
---|---|---|
サービス業界 | 約150~300万円 | ハウスクリーニング |
運送業界 | 約210~500万円 | 宅配 |
福祉業界 | 約300~500万円 | 就労継続支援B型事業所 |
フランチャイズ本部から充実したサポートや店舗設備などの提供を受けたいなら、約300〜500万円の開業資金をベースに考えるといいでしょう。フランチャイズパッケージには、店舗やノウハウの提供も含まれているので、経営の経験がない方でもスムーズに起業できます。
もし社会貢献ができるフランチャイズに加盟したいと考えているなら、就労継続支援B型事業所がおすすめです。マンションの1室から開業できる事業であるため、開業資金を抑えられます。
福祉業界に興味のある方は、開業資金を抑えつつ社会貢献ができる、就労継続支援B型事業所のフランチャイズを検討してみてください。
フランチャイズ起業は条件次第で成功のチャンスがある
本記事では、フランチャイズ起業に必要な知識とこれから伸びる狙い目の業種を紹介しました。
結論として、ビジネスをスタートする前に開業の知識を身に付けて加盟するフランチャイズを慎重に選べば、未経験者でも成功のチャンスがあります。ビジネスを成功させるためにも、フランチャイズ本部のブランド力・サポート体制をしっかりと確認しておきましょう。
ビジネスを成功させる確率を少しでも上げたいなら、本記事で紹介したこれから伸びるフランチャイズ業種を参考に、フランチャイズ加盟を検討してみてください。